本好きの妙な日常話の数々です
暁懐中日記
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大学オリエンテーション期間、大学サークルをやめた関係で四日ほど余暇が出来たので、三冊の本と共に引きこもっていました。

「獣の奏者Ⅰ・Ⅱ」(著:上橋菜穂子) 良かったです。
何が良かったって、一番は獣と人間のリアルな距離感ですね。
獣と人間が早々近くなれることは、やはり無いと思うので。
獰猛な獣であればあるほど、人が制御できない瞬間は、たしかにありうると。
家畜は別です。
あれは、動物であっても獣ではないような気がします。
獣のさがが透けて見えることはあるけれど。
特に肉食の動物の獰猛さは、ふとした時に透けて見えます。
従兄弟が狩っている犬がはなに皺を寄せて唸った直後なんか、すごく怖かった。
その後の「しかられる」とびくびく怯えるしぐさは、すごく可愛かったですけど。
祖母にしかられた背中とか。哀愁漂ってて


もう遠くに旅立ってしまったけれど、以前うさぎを飼っていました。
全身こげ茶で、手足の先と耳としっぽだけが黒く、なぜか赤い眼をしたうさぎでした。
一見すると真っ黒ので母は初見でおどろいてました。「何だこの黒いのは」と。
うさぎはほとんど白いのを連想しますからね

そのうさぎも腹が立つくらいふてぶてしいヤツでした。
うさぎっていうと皆様、外見から愛らしくて可愛らしいイメージを持つと思いますが、意外とふてぶてしいですやつら。人間をエサだし機くらいにしか考えていませんからね!
物音を立てると、ものすごい勢いでエサをねだる(可愛いというより、必死さに引きます)のに、もって無いとわかるとこちらを見ようともしない。
なのにまた物音を立てると「くれるの?!」とでも言うように振り返って。可愛いと感じる前に、呆れますね。
たまに車庫の中に放し飼いにして運動させてやるんですが、そういうときにも滅多に寄ってきたりしません。エサを持っているとき意外は。
書いていると情けなくなるくらい、エサに忠実なうさぎでした。
けれど、ごくたまに。本当にたまに
呼んだら足元によってきたり、手をなめたりして。
遠い距離間が、ふと触れれるくらいに縮まる瞬間が、たまらなく愛おしかったです。
腕に抱いている時でも、暗い赤の瞳は硝子のように澄んでいて、どうすればわからないくらいなのに。たまに見せてくれるそんなしぐさが、近さを感じさせてくれた。

獣との距離感については、敬愛する作家 荻原規子先生が語って見えたので、引用させていただきました。下にURLを書いておきますね。

「アンダンテ日記 イオレク」

以下は例によって例のごとくネタバレ満載なので、よい方の身どうぞ。



この作品には獣との距離の遠さがリアルに書かれています。
もちろんこの獣は、現実には居ない獣です。
ひとつは闘蛇、ひとつは王獣とよばれ、前者は竜のような蛇、後者は翼のある狼のような生き物です。
主人公の少女は双方に深くかかわりますが、絆を築くのは後者の王獣です。
母をなくし蜂飼いに拾われた少女は、そこで少女期を過ごします。十四になった頃、王獣を世話する学舎に進むことになり少女の運命はまた、大きく変わります。
少女は以前野生の王獣を見たことがあったことから、餌を食べようとしない幼獣の世話を任されるのです。
稀有な才能と出会いから少女は幼獣と意思を交わす方法を編み出し、幼獣と言葉を交わすことさえ可能になります。
やがてこの幼獣が成獣となり、けして飛べぬはずの飼育された王獣が空を飛んび、仔を産んだことからこの少女は政治の波に押し流されていくことになります。

この少女は他の物語のヒロイン達とは一風変わっています。多くの児童書の主人公達のように、勝気でもなければ男勝りで明るくもありません。ただ生き物を深く愛し、ちょっとした事から多くの推論をする学者のような頭脳を持った賢い少女、それがエリンなのです。
そのエリンと彼女が育てたリランとの絆は、一度ほころびかけます。
リランが伴侶を得て仔を得たあとの話です。
エリンは音無し笛を吹いてしまったのです。
音無し笛とは、音色で王獣を従わせる笛で、ほとんどの王獣の飼育者はこれを使います。この笛を吹けば、王獣は気絶したように身動きが取れなくなるのです。ですが、王獣はこの音をひどく嫌います。この笛を吹いた者をけして忘れません。だからエリンは特製の竪琴を奏で王獣たちをなだめていました。オルペウスのように
ですがリランが暴れ、人を襲った時彼女はこの笛を吹きました。
その際に彼女も左手の指を三本失いました。
そこで彼女は悟るのです「これほど長く、ともに生きてきた者を食うことができる。獣の思考とは、何と不可解なのだろう」と。
「人の考え方を投影して、獣の心をわかったつもりになってはいけなかったのだ。自分と同じように思考していると思ううちに、いつもまにか獣の不可解さが見えなくない、よくわかる生き物のように思い込んでしまっていた」

Ⅱ巻の半ばでその出来事があるのですが、その後を読むのはつらかったですね。
姉妹のように母娘のように過ごしたリランとエリンに、微妙な隔たりが出来てしまって。特にエリンが冷たく、醒めた眼で王獣と接するのがなんとも言えず、寂しいのです。
私は鞭で叩くようなにしたがえた、と。そのことを自分が何より許せないからこそ、リランに踏み入れない。
けれどもそうしていても彼女は王獣のことを思うのです。王獣を戦に利用することを、なによりも嫌悪するのです。自然が自然のまま生きれないのを、ひどく嫌っていた少女の頃そのままに。

けれどその絆は最後の最後に、奇跡を奏でました。
ほんの気まぐれで私の足元よってきたうさぎのように。

上橋さんの作品は守人シリーズで大好きになったのですが、この話はそのなかでも一番好きな『精霊の守り人』に匹敵するくらい、面白かったです。
是非、おすすめです
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