本好きの妙な日常話の数々です
暁懐中日記
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何か、書けた
2007-10-01-Mon  CATEGORY: 小説。むしろネタ帖?
昨日の記事で。
「二次かける才能がほしい」とうそぶいていた『ジョミーとキースの最後の対話』

何か、書けた

あっれー?
書いては消し書いては消しだった過去はナニ。あれかな小説じゃなく、アニメだったからか。オリジナルの地の文とか、関係ないし。

とりあえず、載せてみます。観覧ご希望の方、下からどうぞ。




 鮮烈な赤をまとう若者を見送り、指導者二人は静かに最後の時を迎えようとしていた。

 腹部に突き立てられた刃を抜かなかったおかげで、時間の割に出血量は少ない。だが横隔膜を傷つけ、背中にまで達した傷は、じわじわとキースを死のふちへと追いやっていく。
 だが心象的にはそうは苦しい物ではない。
 貧血のせいかひどく寒く体は重いが、心は大きな仕事をやり遂げた充足感から晴れ晴れとしており軽い。
 幾多の人間を殺し、人類そのものの未来を奪いかけるような所業を行ってきた。しれなのにこんなに穏やかな死が、自分と言う人間に与えられて良いのか。いっそ神とやらに問いかけてやりたい気がする。
「この死に方を“穏やか”という君の神経を疑うよ、キース」
 苦しげな、だが笑いを含んだ声。視線を向ければいたずらっ子のように翠の眼を煌めかせたミュウの長がいた。
「心を読むな」
「聞こえてしまうんだ」
 やはりこの能力ばかりはどうしても気持ちのよい物ではないと、眉間の皺を深くすれば彼は軽やかに笑った。
「じゃあ思ったことをすべて口に出してしまえば良いさ」
「なに?」
「僕がそうだった。心の遮蔽を覚えるまで、ミュウに心を読まれてばかりだった。だったらいっそのこと腹の中をすべてさらけ出してしまえ、とね」
 逆転の発想だと呟くのに、脳裏で反射的に違うだろうと言い返し、キースは押しだまる。そうは言われたものの、改めて考えてみれば今更問いたいことなど無く。すっと頭に浮かんだ疑問を口にのせる。
「先程の、若者。トォニィとかいったか」
「うん?」
 徐々に廻らなくなる口を意識しないように、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「お前に跡を継げといわれた際、やけにひどく幼い反応をしていた気がした。私が話しかけても無視の一点張りで・・・・・・いったい実年齢はいくつなんだと」
 眼前の青年の姿をとるミュウの長も、データによれば実年齢は壮年の自分と同じはずだ。ミュウという種は自らの外見さえも左右する能力を持つと知っているキースだったが、次のジョミーの言葉には、愕然とした。思わず体を起こしかけ、激痛に苛まれる。
「っ・・・・・ぐ・・・・・・いま、なんと」
「だから三歳だ。もうすぐ四歳だったかな」
 ナスカを後にし宇宙に出てからそんなこと気にかける余裕もなかったが、と呟くミュウの長に、待てと呟く。
「あの外見で・・・・・・あの能力で・・・・・・満三歳だと?」
 まさか他のタイプ・ブルーも、という疑問が脳裏を走れば、ジョミーは軽く肯定した。
「ナスカの子は皆三歳児以下だ。トォニィが最年長で、一番下は一歳に満たない」
「馬鹿な?!」
「だから特別なんだ。ナスカの子は・・・・・・そのせいで、さびしい思いをさせてしまった」
 ふと眼を細めるその横顔は、若々しい外見に似合わぬ深い悔恨に彩られていて。
 口を挟めずにいるキースに、ふと思い出したようにジョミーは笑いかけた。
「君とトォニィは会ったことがあるよ」
「何を言っている?」
「君が捕虜になっていた時の事だ。母親から生まれた子だと、会わせた子どもがいただろう」
 そこまで言われキースの頭にも、若い母親に抱かれた幼児の姿が浮かび上がる。
 ではあれか。『不死身のキース』をいう名を冠する自分を二度も生死の危機に追い込んだのは、たった三歳の幼子だったというのか。
「末恐ろしい・・・・・・」
「まあ、色んな意味で」
 ごくあっさり肯定され、何も続けられなくなる。
 それにしても。
「よくそんな幼い子どもに、後を任せる気になったものだ」
 自分も勢いで言ってしまったが、そんな幼いものに未来を託し大丈夫なのかと今更不安になってきた。
 そう口にすれば、吐息のように笑われた。
「幼いから、まっさらな未来があるのさ」
 澄んだ翠の瞳。身には幾多の傷を負い、死地へと踏み込みつつあるというのに、一転の曇りなく前を見据える強い意思を宿した翠。
「未来の事は託そう、彼に・・・・・・彼らに」
 未だ幼い彼、だがそんな彼らだからこそ、まっさらに輝く未来を作ってくれるだろうと、そう述べ、ジョミーは深く息を吐いた。
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